MRI検査について


MRI検査は放射線を使用しない為、比較的安全な検査といわれています。
しかし、MR装置は強力な磁石(マグネット)と強力な高周波(RF)発信機及び高精度なコンピューター
から構成されています。


これらは、今まで学会等で報告されている範囲において、人体に対しては十分安全だといわれているレベルで使用されていますが、使用者による取り扱いの間違いや不注意は、装置に大きな影響を与えるばかりでなく、思わぬ事故や怪我を引き起こす可能性があります。

 

磁場による影響

 

磁場は、磁性体(鉄等)を引きつけます。MR装置の磁場は、地球の磁場の約1万倍以上の大きさである為、その引きつける力は大変強力です。

 

よって、

検査室に入室する人の体内に磁性体が存在する場合、その磁性体が磁石によって動いて体内を傷つける可能性。

検査室に持ち込まれた磁性体が磁力に引きつけられることにより、マグネット付近にいる人を殺傷したり、装置が破損する可能性。

検査を受ける人が身につけた磁性体の影響により、画像が歪んだり、撮像ができなくなる可能性。

検査室内に持ち込まれた機械類や磁気記憶媒体が故障したり、使用できなくなる可能性。

以上に強く留意する必要があります。

その為、

  体内に磁性体を持っている人は入室を控える事
 検査室内に磁性体、機械類を持ち込まない事    が重要なポイントとなります。

特に心臓ペースメーカー等、電気的、磁気的、機械的に動作する体内埋め込み物は磁場の影響を受けやすく、マグネット周囲
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ガウス以上の磁場にさらされると故障して機能停止する可能性があります。その為、5ガウス以上の磁場がある範囲を
[管理区域]として、第3者が不用意に侵入しないよう厳重に管理する事が必要です。


以上の理由により、次のような体内金属、人工器具に磁性体が含まれている場合は大変危険です。こうした物を体内に所持した
人は管理区域内に立ち入る事は、事前の十分な検討が必要です。(心臓ペースメーカー装着者は立ち入り禁止)

 

心臓ペースメーカー・動脈瘤クリップ・頚動脈クリップ・消化器手術クリップ・神経刺激器

心臓人工弁・埋め込み式補聴器・避妊器具・シャントチューブ・人工関節・人工器官
骨折用接合用金属・義手・義足・ワイヤ縫合・義歯・歯列矯正ワイヤ・流れ散弾等

 

また、次の物は検査室内に持ち込むと、それ自身が故障する恐れがあるばかりでなく、大変危険です。

持ち込まないようにして下さい。

 

薬剤注入ポンプ・インジェクタ-・人工呼吸器・カウンタ-ショック・心電計・酸素ボンベ・消化器・点滴台・ストレッチャ-・
ベッド・車椅子・安全ピン・ヘアピン・時計・ライタ-・はさみ・ナイフ・聴診器・補聴器等

 

次のような磁気記憶媒体は、検査室内に持ち込むとその記憶内容が破壊される可能性があります。十分に注意して下さい。

 

キャッシュカ-ド・クレジットカ-ド・プリペイドカ-ド・ICカ-ド・磁気ディスク等

 

高周波による影響

 

MRで使用する高周波(RF)は大変大きく(放送局と同程度の強さです)、金属(非磁性体を含む)が熱を持つ可能性があります。
特に表面積の広い物やワイヤ-状の物はアンテナの役割をしやすく、危険性が高まります。
高周波を利用する点では、MRは家庭の電子レンジと似ています。電子レンジの中にアルミホイルを巻いた物や金属製の皿を入れてスイッチを入れた時、たいていの場合パチパチと火花が出たり、安全ヒュ-ズが飛んだりするはずです。MRでも同様の事が発生する可能性があります。


すなわち、

高周波を受ける被検者は誘導体を体内外に所持していると、それが熱を発生し、大きな火傷を負う事があります。

被検者の体内に金属が存在する場合、たとえそれが磁性体でなくても高周波により強く発熱する可能性があります。


よって前述した体内金属をもった患者さんは原則撮像禁止であり、やむを得ず検査する必要がある場合も検査するか否かは担当医等による特に慎重な判断が必要です。

金属製装飾品等、特に地肌に触れるような場合は必ず外してから検査をするようにして下さい。

サーフェイスコイルのケーブルは、火傷の原因となる事があります。

 

入れ墨・アイライナーなども火傷の原因となる事があります。

検査に注意を要する方

 

以下のような方の検査は撮像できない場合があります。十分な注意が必要です。

 

妊娠中あるいはその可能性がある。(MR検査の胎児に対する安全性はまだ確立していません)

手術を受けた事がある。(体内金属の可能性)

鉄工所・金属加工等で働いていた事がある。(体内金属の可能性)

戦争で負傷した事がある。(体内金属の可能性)

閉所恐怖症である。(検査に耐えられない)

安静に横たわっている事ができない。(検査に耐えられない)

狭心症・てんかん等の何らかの発作の既往がある。(検査中の発作)